アゼルバイジャンを語る上で欠かすことができないのが、隣国(敵国)アルメニアとの関係です。パスポートに、アルメニアが実行支配する紛争地帯Nagorno-Karabakhの入国スタンプがある場合、アゼルバイジャンへの入国を拒否されるようですのでご注意下さい。(Nagorno-Karabakh以外のアルメニアへの入国履歴は問題ないようですが、適宜最新情報を確認して下さい。)
アゼルバイジャン領内に飛び地的に存在するアルメニア人居住地区であるNagorno-Karabakhは古くから両国の紛争に火種になってきました。80年代後半以降、両国間の戦争にまで発展し、相次ぐ武力衝突の末、現在Nagorno-Karabakhはアゼルバイジャン領であるものの、アルメニアが実行支配をし、Nagorno-Karabakh自体は独立宣言をしているという泥沼の状況に陥っております。 アゼルバイジャンでは、毎年2月26日になると、各種SNSが「Khojaly大虐殺」を糾弾する投稿で溢れかえります。これは、両国がソ連から独立した後に紛争が悪化し、1992年2月後半、アルメニア軍がNagorno-Karabakhのアゼルバイジャン人居住区Khojaly近辺において数百人のアゼルバイジャン人を虐殺したとされる事件のことです。(アルメニア側は虐殺は捏造であると主張。) 一方で、80年代後半以降には、アゼルバイジャンに居住するアルメニア系移民がアゼルバイジャン市民により虐殺されるという事件も多く発生しており、犠牲者数は数百人から一千人以上とも言われています。(アゼルバイジャン側は、事件はアルメニア人やKGBによって扇動されたものであると主張。)内気で穏やかな現在のバクー市民の姿からは想像もつかないのですが、首都バクーにおいてもアルメニア人に対する暴行・虐殺が発生したようです。 2016年4月には、両国の間で再び大規模な軍事衝突が起こり(April War)、数百人規模の犠牲者が発生した模様です。 両国間の憎悪は非常に激しいものであり、アゼルバイジャン人にはアルメニアの話題には触れないのが得策です。 このように、アゼルバイジャンは戦時下の国という側面もあり、移住をされる場合は、地政学リスクも理解した上でご判断下さい。バクー市内はとても平和です。 余談になりますが、2017年、アゼルバイジャンのQarabağ FKというサッカーチームが欧州チャンピオンズリーグのグループステージに進出しました。結果はグループステージ敗退だったのですが、A.S. RomaやAtlético Madridと接戦を演じ、インパクトを残しました。 このQarabağ FKというチームは、Nagorno-Karabakh戦争の激戦地であり、「コーカサスの広島」と呼ばれるAgdamに起源を有するチームです。(現在はバクーに本拠地を移転。) Qarabağ FKの活躍により、「Karabakh」という地名がアゼルバイジャンの領土であるという認識が広がり、アゼルバイジャン人はご満悦です。アゼルバイジャンのサッカーが発展するのは喜ばしいことなのですが、なにやらスポーツチームが政治利用されているようで気持ちが悪い感じもします。
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