イスラエル軍のガザ地上侵攻に伴い、いよいよ洒落にならない状況になってきました。 日本人がのほほんとハロウィンに興じる中、中東全域を巻き込んだ地域紛争、あるいは世界大戦すら発生しかねない程、地政学環境は緊迫の度合いを増しています。 当ブログでは以下のような指摘をして参りました:
昨今の金融・地政学の動向を見るにつけ、これらの内容は自分でもびっくりするほど的中していたと思います。 ただし事態は想像を絶するスケールで進展しています。 ペトロダラーの終焉 2023年初頭、世界に衝撃が走りました。 サウジアラビアが中国に人民元建てで石油・ガスを輸出することを決めたのです。 これはニクソンショック以降50年以上に渡って、米ドルを基軸通貨たらしめてきた、米ドルによる国際石油取引決済の独占が公式に終焉したことを意味します。 1971年のニクソンショック以前の米ドルは、金との一定比率での兌換を保証しており、ゴールドを担保として米ドルの価値を保っていたわけです。 ところが朝鮮戦争・ベトナム戦争での歳出増や貿易赤字の増大に伴い、米国はゴールドがすっからかんになり、この枠組みを維持できなくなりました。 そこで代わりに、サウジに安全保障を提供する見返りに、石油決済を米ドルで独占することで、「米ドルは石油との交換チケットだよ」として生き永らえたわけです。 以降の米ドルは米国債を担保に発行されるフィアット通貨へと生まれ変わりました。 要は通貨の価値貯蔵機能を犠牲にしたただの紙切れであり、一度財政規律を無くせば、購買力を失い続けるような代物です。 そもそも人類の歴史上、通貨とは金や銀を担保にして購買力を保証したものであり、フィアットを基軸通貨にして上手くいった例なんてないわけです。 ローマ帝国然り、宋王朝然り、通貨を薄めた国は最後には通貨の信用を失い、インフレで破綻してきました。 通貨の購買力が担保されなくなり、インフレを前提としたデットベースのマネタリーシステムに移行したニクソンショック後の経済下では、生産性の向上に分配が追いつかず、庶民がひたすら貧乏になるという世界線となったのです。 こんなの持続不能です。
また、中国の仲介でサウジはイランと関係を正常化しました。 安全保障面からもペトロダラーの価値は無くなってしまったわけです。だってサウジの敵がいなくなったんだもん。
さて、米国が超大国であり先進国でもある唯一無二の理由は『米ドルが基軸通貨だから』です。 その米ドルの価値を裏打ちしていたペトロダラー体制が崩壊しました。 日本人がのほほんとしている間に、第二次大戦以降最大の地政学イベントが起きていたのです。 ドルが爆弾になって降ってくる 米ドルが基軸通貨である限り、米国は無尽蔵の資金調達が可能になります。 米国以外の国が自国通貨の価値を担保するのは、外貨準備、すなわち米ドルの保有額です。 虎の子の資源を欧米に買い叩かれた新興国は、通貨危機を防ぐべく、なけなしの国富を米国債・米ドルの形で保有します。米政府が米国債を発行して資金調達をすればするほど、新興国はこぞって米国債・米ドルを買い漁るわけです。 すると、アメリカはドル(空気)を輸出することで、金融収支の形で資金が還流し、経常赤字だろうがガンガン消費と輸入ができてしまうわけです。 アメリカに限らずアングロ系の国々や金融立国はだいたいこんな感じの、他国の財布で自国の消費を賄う乞食型のビジネスモデルです。 さて、これは米ドルが基軸通貨である限り、米軍も無尽蔵の資金調達ができることを意味します。 新興国が必死に貯めた米ドルが、米軍の爆弾になって新興国に降ってくるわけです。 脱ドル化とBRICS新通貨 今年の流行語大賞はDe-dollarization(脱ドル化)でしょうか? 8月開催のBRICSサミットにて、ドル覇権を終焉させるべく、BRICSが金本位性の新共通通貨を発表するとの憶測が出回りました。 インドの慎重姿勢もあり、また専門家からも現実的でないとの指摘もなされていますが、水面下で取り組みは進んでいるようです。 懐疑論を他所に、世界の中央銀行は記録的なペースでゴールドを買い漁っています。 また、中国人民銀行は、政府系金融機関等を利用して巧妙に実態を隠し、公表値(2,136トン)の2倍強にもなる5,000トンものゴールド現物を保有しているとの分析もあります。 世界は理解しているのです。 コロナ禍での記録的な通貨発行が不可逆的なインフレを引き起こし、フィアット通貨にこれまで以上の大幅な購買力の損失(切り下げ)が不可避であり、また現行のフィアット基軸通貨体系が持続不能な状態にすらなり得ることを。 脱ドル化は猛烈な痛みを伴います。 グローバルサウス自身も外貨準備として大量のドル資産を保有しているわけですし、米ドルは決済・担保・価値尺度として現行の金融システムの奥深くに根ざしています。 これを終焉させようとすると、世界の経済・金融の枠組みは根底からぶっ壊れ、間違いなく世界恐慌を遥かに凌ぐ大混乱が訪れるわけです。 しかしながら既述のように、この脱ドル化の流れは単なる通貨戦争ではなく、生存権を賭けた戦いです。 BRICSはリーマンショック以降10年以上の歳月を賭けて脱ドル化の準備をしてきました。 どれだけの返り血を浴びようが、どれだけの経済的不利益を被ろうが、BRICS・グローバルサウスは絶対に脱ドル化を成し遂げ、欧米による武力経済支配を終焉させます。 絶対やります。生き残るために。 仮に中印が慎重姿勢なら、ロシアとアラブだけで強引に進めるでしょう。 一度列車が走り出したら、世界は飛び乗らざるを得なくなります。 各種ニュースを参考にした私の想像ですが、おそらく金・コモディティーを担保にBRICS共通のデジタルトークンを創り、それを外貨準備・貿易決済に利用するという枠組みになるのではないでしょうか? 手数料徴収のような形で加盟国に通貨発行益(シニョレッジ)が入ってくるのでしょう。 一方で、BRICS諸国は為替操作国です。為替レートを恣意的に操作することでマクロ経済運営をしています。 おそらくは国内用に為替をコントロールしやすい自国フィアット通貨(人民元、ルピー等)も維持する二重通貨体制になるのではないでしょうか? 中国は現状、人民元・オフショア人民元・香港ドルで似たようなことをやっているので、こんな枠組みも十分あり得ると思います。 来年サウジ、UAE、イラン、アルゼンチン、エジプト、エチオピアが新加盟国としてBRICSに参加することが決まっています。(アルゼンチンは怪しいと思いますが) BRICSに加盟後、おそらくサウジとUAEがどこかのタイミングでドルペッグから離脱するのではないかと個人的に予想しています。これが開戦の狼煙となるでしょう。 今思い返せば、ウクライナ戦争の最大の目的って、BRICS&グローバルサウスが欧米支配・ドル覇権体制に反旗を翻すカタリストだったのではないかと思います。 いつやるか?今でしょ! 「意味分かんねーよ!」の決め台詞でお馴染み、"意味分かんねーよ山添"こと山添博史氏は、ロシアがなぜこのタイミングでウクライナの侵攻したのか、意味が分からないとのことです。 そうでしょうか?私は逆に今しかないと思います。 中国には習近平、ロシアにはプーチンという長期安定政権が君臨しています。 大きな仕掛けをするのであれば、齢71歳のプーチンが健在の内にというのは合理的な判断でしょう。 金融に目を移すと、中国のCIPS国際送金網が世界に普及し、デジタル人民元や、ブロックチェーンベースのmBridgeも実用化段階に入りました。 テクノロジー面を見ると、中国版GPSであるBeiDouが一気に普及し始めました。 SWIFT送金網とGPSという、米国を超大国たらしめてきた2大インフラが中国によって代替されてしまったわけです。 エネルギーに目を移すと、石油需要が今世紀前半にピークアウトするとの分析が出回っています。(本当かどうか知りませんが。) また、今世紀中にも核融合発電が実用化され、クリーンなエネルギーが無尽蔵に供給される未来が手の届くところにまで来ました。 産油国を抱き込んで世界覇権の奪還を狙うのであれば、油がまだ地政学的なパワーを有している間に急いで仕掛けなければなりません。 軍事面では、中露共に超音速ミサイル・超音速弾道ミサイルの技術で西側を凌駕していると言っても過言ではないでしょう。 中国はボタン一つで米空母を破壊できる超音速弾道ミサイルを有しているとの見解も出ています。 経済面では、購買力平価ベースのGDPでBRICSがG7を抜きました。 経済活動の規模では既にBRICSの方が上なのです。 それでも先進国が見た目まだ豊かなのは為替のプレミアムがあるからです。 脱ドル化によって先進国の紙切れフィアット通貨が減価すれば、先進国は先貧国になります。 しかしながら、中国は急速に高齢化が進むことが予想されており、また不動産バブル崩壊のリスクもあります。 なので、中国の経済リスクが顕在化する前に、世界覇権を奪ってしまっておきたいわけです。 脱ドル化をすると人民元が切り上げられる可能性があり、これは為替を弱くして輸出を伸ばしてきた中国にとっては悩ましいところです。 一方で、中国は一路一帯という協力な物流網を構築してきました。 要は、為替で不利になっても、物流という代替困難なコアコンピタンスを持つことで、世界の工場としての競争優位を維持できる体制が整ったわけです。 世界は戦時体制に突入した 今年3月、中国は立法法を改正し、通常3回の審議が必要なところ、緊急時には全人代常務委員会による1回の審議で法案が可決できるようになりました。 また6月には、米国は債務上限を一時撤廃し、2025年まで上限なく米国債を発行できるようになりました。 日本人がのほほんとしている裏で、世界はとっくに戦時体制に移行しているのです。 Plan B 今夏の移籍市場でカイセドにドタキャンされたリヴァプールFCは、代わりに日本代表MFの遠藤航を獲得しました。 何事も当初の計画(Plan A)が上手くいかなかった時のために、代替案(Plan B)を持っておくことが重要なのです。 欧米にとってのPlan Aはウクライナでした。 なぜNATOはクーデターを起こしてまで、ロシアの裏庭であるウクライナを取りにいったかというと、そこにはノルウェーに匹敵するとも言われる欧州最大級の石油・ガス資源が眠っているからです。 特にドンバスでは2013年に欧米資本による100億ドル規模のシェールガス田の開発が決定していました。 だから2014年のウクライナ侵攻でプーチンはドンバスを開戦の地とし、実効支配までしたのです。 だからウクライナは2万人規模とも言われるドンバスのロシア系住民を殺害し続けたのです。 ただ資源の有り余るロシアにとっては、これは「欧米にエネルギー資源を渡してなるものか!」という消極的理由だと思います。 以前投稿した通り、ロシアは資源経済というより食糧経済で、ウクライナの農産業の方がロシアにとってはよほど魅力的と思います。
ロシアの抵抗により欧米はウクライナ(Plan A)を取り損ねました。 さぁPlan Bの発動です!! どうもPlan B(イスラエル)はかなり複雑かつ壮大なものです。 10月のハマスによるテロ攻撃を契機に、イスラエルはガザ地区におぞましい程の報復攻撃を加えて徹底殲滅を行っております。 イスラエルはハマスのテロを事前察知できなかったとのたまってますが、そんなわけありません。 米国もエジプトも事前にイスラエルに警告を出していました。 イスラエルはわざとハマスに大規模テロを実施させて、わざと自国の民間人に大量被害を出したのです、その後の大規模報復の口実とするために。真珠湾2.0。 さて、これほどの犠牲を出してまで、イスラム圏全体を敵に回してまでして、戦線を拡大した欧米&イスラエルの狙いはなんでしょうか? まず戦場となっているガザ地区沖合にはGaza Marineのガス田があります。 パレスチナをこのまま放置して、もしガザ地区が独立国家にでもなってしまい、これがパレスチナのものとなるのはイスラエルとしても気に食わんのです。 1TCF程度のそんなに大きくないガス田ではあるのですが、「資源権益は渡さねーよ」という見せしめの意味もあるのでしょう。 また「NATOの次の標的はレバノンだ」「いやイラクだシリアだ」「いや最終目標はイランだ」と様々な憶測が出ています。 順当に行けばレバノン、イラク、シリア辺りのテロ組織を空爆して、イラン本土も視野に入れるというシナリオになるのでしょう。 ただ、大穴として、私はエジプト(もしくはアルジェリア)もあり得ると思っています。 ↑は主要産油国の天然ガス埋蔵量になるのですが、エジプトやアルジェリアぐらいの規模感があると欧州のガス需要をかなりまかなえてしまうので、地理的に見ても、NATOが攻め入るにしても「コスパ良し」という判断になるのかなと思っています。(※エジプトの資源セクターは目下運営が上手くいってないが、埋蔵量自体は結構ある) もう一点エジプトが重要なのは物流です。 中東から欧州へのエネルギー輸送はエジプトのスエズ運河に依存しており、この運河を保有しているだけでエジプトには年間100億ドルが転がり込んできます。 その経済・軍事的重要性から、1956年にエジプト政府はスエズ運河を国有化し、これが第二次中東戦争の引き金となりました。イスラエル・英国・フランスはこのスエズ運河国有化を阻止するためだけにエジプト・ガザに攻め込んだのです。 さて、このスエズ運河と競合すべく、イスラエルはBen Gurion運河なる計画を進めており、そのルートがガザをかすめるのです。 運河の脅威となるハマスは排除しておきたいところでしょう。 また、このBen Gurion運河は、壮大な金融・地政学ゲームのラストピースにもなり得ます。 この運河ができてしまうと、Trans-Israel Pipelineと合わせて、中東〜欧州へのエネルギー輸送をイスラエルがほぼ独占できてしまう可能性があります。 すなわち、 (旧) サウジによって石油決済の独占を保証されたペトロダラー1.0から、 (新) イスラエルによる欧州エネルギー物流の独占をベースにしたペトロダラー2.0、 へと移行するための壮大な仕掛けなのではないかということです。 「欧州に油売るんだったらイスラエル通って、米ドルで決済してね♥」ということです。 このシナリオでもエジプト(スエズ運河)が邪魔になってきます。 イスラエルメディアMekomitがリークした、イスラエル諜報当局の内部文書とされる資料では、ガザの一般人をシナイ半島(エジプト)に追放することが提言されています。 また米政府が最近申請した千億ドル強の予算には、ガザからの避難民に対する支援が既に盛り込まれています。 イスラエルが力ずくでガザを奪い去り、難民は米国納税者の負担でエジプトに押し付けるシナリオが既に出来上がっているのです。 こうしてエジプトとの緊張状態を創り出し、堪えきれず手を出してきたらいつものようにNATOが難癖つけてエジプト(もしくはアルジェリア)に展開して資源権益やスエズ運河を押さえるという筋書きもありなのかな〜と思っています。 思えば8月にエジプトのBRICS加盟が決定した時点で、この地域での紛争は避けがたいものだったのかもしれません。 でもマジでNATOがどこまでやるつもりなのか、全く読めません。。。 西側は何か想像を絶する大きな一手を考えている気がします。 さて、資源国を中心にグローバルサウスはかつてない程結束し、欧米に反旗を翻しています。頼みの綱のウクライナも思ったようにはいきません。 このままでは欧州のエネルギー安全保障も米ドル覇権もどうにもならんのです。 他に選択肢はありません。 欧米は力ずくで資源権益か資源物流を押さえるしかないのです。 西と南は袂を分けた FTに面白い記事が載っていました。 G7某国の外交官が泣きを入れたようです。 「我々はグローバルサウスをめぐる戦いに敗れた。ウクライナ戦争を通して築いた結束も失った。国際ルールや秩序は忘れた方が良い。彼らは二度と我々の言うことに耳を貸さない」 ウクライナ戦争までは、ロシアのビジョンに共感しつつも、「でも武力侵攻したのロシアだよね」ということで戦争自体には反対してくれていたグローバルサウスの国々はたくさんありました。 ところが今回、イスラエルがガザ地区に対してもっとおぞましいことをやっているわけですが、欧米は全力でイスラエルを支持する側に回りました。 グローバルサウスの国々はリアルタイムで目撃してしまったのです:
以前、普段文明人の振りをしている欧米人も追い詰められたら化けの皮が剥がれると指摘しましたが、まさしく、欧米のリーダーから一般人に至るまで白人の醜い化けの皮の下を晒してくれたわけです。 国連人権理事会においては、米代表の演説に対し、グローバルサウスの国々が背を向けて抗議する場面が見られました。 南は反欧米で結束したようです。 私は最終的にグローバルサウス諸国が一斉に国連を脱退してBRICSに加盟すると予想しています。 逆もまた然りで、西も腹を決めたように見えます。 国際社会の場でグローバルサウスが声高にイスラエルを非難しても、西側は全く意に介しません。 おそらく平均的な西側白人の本音はこんなところでしょう:
人類はルビコン川を渡ったように思います。 奴隷化する人、浄化する人 欧米諸国が異民族と相対する際、基本型となってきたのは支配・奴隷化です。 白人を階層の最上位に起き、征服地の現地人を奴隷にして、資源を搾取するというのがお決まりなのです。 言ってみれば侵略された異民族は奴隷労働力として生き永らえることができたわけです。(豪州や北米等例外も多々ある) 一方で、当ブログではアゼルバイジャンで流行りの民族浄化について度々紹介して参りました。 テュルクだの、アラブだの、ソビエトだの、漢民族だの、多民族が国境を接し鎬を削るユーラシア大陸では生易しいことでは生き残れません。 この地のルールは民族浄化・滅殺です。 文字通り敵をこの世から消し去ってしまう、All or Nothingの世界です。 欧米はこんな連中を相手に数百年に渡って支配・搾取し続けてきたわけです。 考えてみてください。このまま欧米が力を失い、BRICS&グローバルサウスが世界覇権を手中にしたら、欧米白人にどんな恐ろしい仕返しが待ち受けているか?? 他に選択肢はありません。 欧米は、手段を厭わずどんな卑劣な手を使ってでも自らの覇権を維持するしかないのです。生き残るために。 PSYOP 以前の投稿で、テュルク族が移住先で人口を増やし土地を乗っ取るカラクリを紹介しました。そして移民が急増する欧州でテュルク・イスラムvs欧米白人の軋轢が生じると指摘しました。 昨今の欧米の移民危機を見ていると、まさしくその通りの展開になっていると思います。 ただ、これは鶏と卵が逆なのではないかと、最近思い始めています。 なぜ欧州で移民が増え続けているかというと、Médecins Sans Frontières、SOS MEDITERRANEE、SOS HUMANITY、Open Armsといった欧米政府の支援を受けたNGOがアフリカ・ユーラシアから欧州に移民をピストン輸送しているからです。 意図的に移民危機を創り出しているわけです。 私はこれはもはや、過去の戦争のレシピを再現することによって、大規模な軍事作戦を容認する西側国内世論を創り出すための壮大なPSYOP(心理オペレーション)なのではないかと思っています。 ヴェルサイユ条約による損害賠償が重くのしかかったドイツでは、悲惨な政治・経済状況をユダヤ人のせいにしようとするナチス政権の誕生に繋がりました。 移民の急増により社会不安が増し、極右的な風潮がカジュアルに台東している昨今の欧米の状況は、第二次大戦前のドイツと酷似しているのではないでしょうか? 移民問題は欧米の安全環境を脅かすまでになっています。 暴動や犯罪や白人狩りが急増し、今まで外来派兵型であった欧米人が、自国が異民族に蹂躙され本土が攻撃される恐怖を身近に感じていることでしょう。 これは911テロ当時のアメリカと似ています。リアルタイムでワールドトレードセンターに飛行機が突っ込み崩壊する様を目撃したアメリカ人はパニックになり、あの見事な爆破解体工事をテロ攻撃であると錯覚し、米国内世論はアフガン侵攻を容認しました。 国土が攻撃されたという点では、真珠湾攻撃も似たようなものですね。 なぜ当時の日本が無謀な真珠湾攻撃をせねばならなかったかというと、ABCD包囲網で資源輸入をブロックされ兵糧攻めにあっていたからです。エネルギー安全保障がままならず、自身より遥かに強大なアメリカに無謀な先制攻撃をせざるを得ない状況に追い込まれました。 ノードストリームパイプラインを爆破された欧州は似たような恐怖を感じていることでしょう。 さて、イランはイスラエルに対するEmbargo(石油禁輸)を呼びかけています。 私は産油国のEmbargoが次の大きなカタリストになると予想しています。 いよいよ産油国が資源を武器化し欧米に牙を見せた時、ヒステリーが最高潮に達した欧米では、大規模な軍事作戦を容認する極右世論が大勢を占めるようになるのではと思っています。 さぁ、欧米の刃の矛先はイランかシリアかイラクかレバノンか?エジプトかアルジェリアか?はたまたベネズエラかハイチか?まさかのサウジか? 50/50 「Majiっすか!!」と思わず画面に向かって叫んでしまいました。 イスラエルとハマスの交戦によりさらなる地政学的衝突が誘発され、最終的に米中を巻き込んだ世界大戦に発展する可能性は50%であるとレイ・ダリオがコメントしました。 いよいよ洒落にならないですね。 Majiで世界大戦する5秒前。 十字軍2.0 『いつやるか?今でしょ!』なのは欧米も同じです。 空前のイカサマ選挙で大統領となったバイデンですが、やはり不人気ぶりは覆せず、来年の大統領選で再選する可能性はほぼゼロです。 権力を維持すべく、早急に大規模軍事作戦を展開して非常事態を創り出し、大統領選を延期・中止に持ち込もうという誘惑が働いても不思議ではありません。 欧州も酷い状況です。 ドイツが経常収支を稼いで、その稼ぎを観光・投資等で域内に還流させるのが欧州の基本的なビジネスモデルです。それを可能にしてきたドイツの産業を支えたのは、安価なロシア産天然ガスだったわけですが、ウクライナ戦争を経て、そのビジネスモデルが崩壊してしまいました。 エネルギーコストの上がってしまったドイツで起きているのは、設備投資の停滞、すなわち産業空洞化です。もはやドイツ企業ですらドイツ国内への投資を諦め、米国等への投資に目を向けています。ようこそ失われた10年へ。 また、エネルギーの確保のため、欧州資本が米国のシェール開発に乗り出す事例も出てきています。 裏を返せば、米国は欧州の資金と産業と技術を自国に取り込み、欧州の金で資源開発をしているわけです。欧州は踏んだり蹴ったりですね。 ユーロも厳しい状況に直面しています。 ↑SWIFT国際送金に占めるユーロのシェアは急減しています。 ↓また国際トレードファイナンスのシェアでは人民元がユーロを抜き去りました。 脱ドル化が叫ばれる中、市場で先に起きているのは脱ユーロ化なのです。 個人的にはユーロの未来に関しては大変懐疑的です。 インフレ率も給与水準も産業構造もバラバラな欧州諸国が無理やり共通通貨を利用しているため、各国は財政・金融政策に制約を受ける一方、域内で一カ国でも信用不安が発生すると信用危機は伝播します。 小国が通貨危機を回避でき、越境ビジネスが発展する等、メリットも多々あるのですが、やはりユーロは基本設計の段階で無理があるとしか思えないのです。 今回の覇権戦争の過程でユーロが終焉することになっても何も驚きません。 外貨準備としてのユーロを考える時、重要になってくるのはイタリア国債市場なのですが、イタリア政府の財政は本当に酷いもので、とても持続可能とは思えないのです。まぁ日米含め他の国もとっくに持続不能ですが。 過去の世界大戦は、財政・金融面から見ると:
おそらく欧米はコロナのドサクサに紛れて、自らの地政学・金融覇権を維持したままガラガラポン(切り下げ、CDBC移行、デノミネーション、etc)をしたかったのだと思いますが、ロシア・中国・サウジが横槍を入れたということだと思います。 前置きが長くなりました。 繰り返しになりますが、他に選択肢はありません。 欧米は自らの覇権を維持するためなら何だってやります。核兵器だって平気で利用することは歴史が証明しています。 日本人がのほほんとしている裏で、現在地中海には2隻の米空母を含む70隻以上のNATO艦艇が展開しており、未だその数を増やし続けています。これは既に湾岸戦争やイラク戦争に匹敵する第二次大戦以降最大規模の海上戦力の投入になります。十字軍2.0 これだけのリソースをかけて「抑止力です」とか「演習です」なんてオチは考えづらく、西側は何か巨大なシナリオを周到に準備しているのです。 専門家からはシリア・レバノン・イラクのテロ組織や、同地に展開するロシア・イラン系組織に対する大規模空爆作戦だろうとの見解が出ています。
また、イラン本土にも手を出すのではないかとの意見も多いです。 本当にそれだけでしょうか?? 欧米+イスラエルはほぼ全ての産油国を敵に回しており、また過去の大戦時と違い自国外の資源権益が乏しい状態です。地上戦兵器はウクライナで浪費してしまいました。 兵站に乏しく、継戦能力もないのです。 こんな状態で爆弾だけ落として、その後どうすんすか? 恨み買って、グローバルサウスから真綿で締められるようにジワジワとコモディティーの供給を絞られる未来が見えているのです。
そう考えてみると、欧米が、核兵器の使用を含め、超短期決戦でいくつかの産油国・資源国を屈服させ権益を押さえてしまう、という悪魔のシナリオが見えてしまうのは私だけでしょうか?? 欧米が核を使用しても、自国に被害が及ばない限り、中露は指を咥えて見ていることしかできないでしょう。 今年から来年にかけて世界は歴史的なターニングポイントを迎えるのは間違いないでしょう。願わくばそれが戦争でないことを心より願います。
2 コメント
たくちゃん
4/21/2024 07:09:58 pm
筆者様の世界情勢についての予測を興味深く読んでいる者です。
返信
管理人
4/21/2024 08:15:31 pm
こんなしょうもないブログに目を通して頂きありがとうございます
返信
返信を残す |